消滅時効について
1 消滅時効とは
消滅時効とは真実の権利関係に関係なく、一定期間その権利を行使しないことにより、その権利が消滅してしまう制度を言います。
消滅時効が完成し、相手方が消滅時効を利用する(「時効の援用」と言います。)場合には、お客様の権利は消滅して認められないことになります。
そこで、消滅時効が完成しないようにすることが重要となります。
債権の種類によっては、短期消滅時効が設定されているものもありますので、注意が必要です。
2 消滅時効の期間
債権の種類によっては、短期消滅時効が設定されています。
債権の種類に応じた消滅時効期間を整理すると、以下のようになります。
なお、以下は一例となりますので、詳しくはお問い合わせください。
債権の種類 | 消滅時効期間 | 根拠法令 |
一般の債権 | 10年 | 民法167条1項 |
年金・恩給・扶助料・地代・利息・賃借料 | 5年 | 民法169条 |
商事債権 | 5年 | 商法522条 |
労働者の退職金 | 5年 | 労働基準法115条 |
医師・助産師・薬剤師の医療・助産・調剤に関する債権 | 3年 | 民法170条1号 |
技師・棟梁・請負人の工事に関する債権 | 3年 (但し、工事終了のときから起算) |
民法170条2号 |
不法行為に基づく損害賠償請求権 | 3年 (但し、損害及び加害者を知った時から起算) |
民法724条 |
生産者・卸売または小売商人の売掛代金債権 | 2年 | 民法173条1号 |
居職人・製造人の仕事に関する債権 | 2年 | 民法173条2号 |
学芸・技能の教育者の教育・衣食・寄宿に関する債権 | 2年 | 民法173条3号 |
労働者の賃金(退職手当を除く)・災害補償その他の請求権 | 2年 | 労働基準法115条 |
月又はこれより短い期間で定めた使用人の給料(アルバイト代等) | 1年 | 民法174条1号 |
労力者(大工・左官等)・演芸人の賃金ならびにその供給した物の代価 | 1年 | 民法174条2号 |
運送賃 | 1年 | 民法174条3号 |
ホテルや旅館の宿泊料・キャバレーや料理店などの飲食料 | 1年 | 民法174条4号 |
貸衣装など動産の損料 | 1年 | 民法174条5号 |
3 時効の中断
消滅時効を防ぐ手段として、時効中断の制度があります。
時効の中断とは、それまでの時効期間の経過を振り出しに戻すことをいいます(民法147条)。
時効中断事由には、以下のものが挙げられます。
① 請求
裁判上の請求、支払督促、和解の呼び出しなどの他に、裁判外の請求である催告も含みます。
② 差押え、仮差押え、仮処分
③ 承認
また、仮に消滅時効が完成した場合であっても、相手方が債務の承認をした場合(一部を支払ったり、今後の支払を約束したりするような場合)、時効の利益の放棄とみなされます。
この場合には、相手方が消滅時効を主張することはできなくなります。
消滅時効が成立するかどうかは、債権の回収の成否にも影響する重要な事項です。
消滅時効でお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。